異質が怖い

小学校の開放図書館から

コンビニ人間」という本を借りてきた。

確か、少し前に芥川賞をとった作品。

 

なんとなく借りてきた本だったけど、

すごく心を揺さぶられてしまった。

 

主人公は36歳独身の女性。

大学生の時から18年間、同じコンビニでバイトを続けている。

詳しくないから正確じゃないかもだけど、

発達障害とかアスペルガーとかそんな感じ。

他人の感情を読み取ることが苦手で、

自分の感情も、なんだか薄い。

 

コンビニには、いろんな人がやってくる。

変わった人も、時には。

 

異質な存在は、ゆるやかに排除されていく。

暴力的ではない、ゆるやかな排除が、

なんというかとても恐ろしく感じる。

たぶん、わたしもやっている、無意識のうちに。

みんな無意識のうちにやっている。

それがとても恐ろしく感じた。

 

主人公は、

自分がどこか変わっているということはわかっていて、

同世代の同僚から、服装や振る舞いを学んで、

浮かないように、居場所を確保するために、努力している。

 

主人公は、障害であるように、少し極端に描かれてるけど、

健常とされる人たちも、普通だとされる人たちも、

地続きだと思う。

 

誰もが(多くのひとが)異質になることを恐れ、

異質にならないように、合わせている。

無意識のうちに。

 

途中、新しいバイトの男性がやってくる。

38歳独身。

その人は、ずっと異質だと排除されてきたことに

怒りがたまっている。

世間の鼻をあかしてやろうと、無謀な計画を立てて、

さらに排除されていく。

 

異質な人を、排除していって、

どんどん狭まっていく感じが、恐い。

狭まった同質の中から、さらに異質を見つけて

排除する。

均質になればなるほど、ちょっとしたことが異質になり

居場所がどんどん狭くなる。

 

現実でも、そういう風になっていく雰囲気、

肌で感じる。

個性を大事になんて、建前なんだなって思う。

狭く狭くなっていく、同質の層。

 

異質になることを恐れて、

合わせる努力をしたり、

自分は普通だと信じて、

異質な人を忌み嫌ったりする。

 

でも、誰もが異質なんじゃないのかなぁ?

同じ人間なんて、どこにもいないんだから。

 

異質を排除することって、

結局は自分の首をしめることにように思う。

 

寛容じゃない、不自由な世間。

その中に、含まれるわたし。

排除したり、排除に怯えたり。

 

そんなことを感じて、揺さぶられちゃった。